起業スイッチ

【Part1】「4歳から帝王学を叩き込まれました」ちきゅう代表・浅井氏が語る、世代を超えた経営哲学

1ユーザーあたり月額500円で利用できる、中小企業向けのマーケティングソフトウェア「ちきゅう」を提供するちきゅう株式会社。代表の浅井氏は、「親戚にサラリーマンがほぼいない」という経営者一家に生まれ、幼少期から経営が身近にある環境で育ってきた。

特に老舗弁当メーカーの創業経営者である祖父の言葉は、今の浅井氏に大きな影響を与えている。

大学卒業後、ADを経てリクルートで12年間働いていた浅井氏だが、娘の死をきっかけにより濃い人生を送ろうと決意し、ちきゅうを立ち上げて自身も経営者としての道を歩み始めた。

浅井さん2-1-min

サラリーマン時代の100倍楽しい

ー12年勤めたリクルートを辞めて、2014年にちきゅうを起業されたわけですが、ご実家の旅館は継がなかったんですか?

実家の旅館は従兄弟が継ぎました。僕に話もありましたが、自他共に「旅館のオヤジキャラじゃないだろう」ということで。笑

ーマーケティングソフトウェアというちきゅうのビジネスを選んだ理由はなんだったのでしょうか?

ネクスウェイの時に、CRMとマーケティングオートメーションを組み合わせるとすごい成果が出るなというのが実体験としてあったので、これを沢山の会社に使って欲しいと思ったのがきっかけです。

究極のマーケティングデータベースを作りたいと思って、ちきゅうのビジネスを選びました。

ーなるほど。しかしプレイヤーがたくさんいる、激戦のマーケットという印象があります。

確かに競合は多いですけど、ちきゅうが目指している世界観に共感してくれて、サービスに満足してくれるお客さんを1日1社ずつでも積み上げていけば、市場を制覇はできないかもしれませんが、きちんとした事業になると思っています。

ーちきゅうを創業して2年が起ちますが、起業家生活はいかがですか?

起業した後も大変なことばかりですけど、サラリーマンの頃よりは100倍楽しいですね。自分が決めた戦略を実行しているので、一つ一つの仕事に納得感があります。

会社に所属していると、納得できない戦略が落ちてくる時もあるじゃないですか。それを3〜4ヶ月かけて腹落ちさせて「よし、これで3年間こういう風に進めていくぞ!」って自分の中でめちゃくちゃシュミレーションした矢先、半年くらいで全然違う方向に舵を切るとか。

ー半年で戦略や組織が大きく変わることは結構ありますよね。活性化のためには良いんでしょうけど、浅井さんのように仕事に対する「想い」が強い人にはきついのかもしれませんね。起業してからおじいさんとお話はしましたか?

起業した時には、もう亡くなっていました。ただ、会社員の頃におじいちゃんの家に行くと、また昔のようにプリントを持ってきて講義をしてくれました。おじいちゃんも自分が過去に何を話したか忘れているので「あ、この話6回目だ」とか思いながら聞いていました。笑

あとは今、父が旅館を従兄弟に継いで、イカの加工食品の事業を始めているので、経営については父とも話しますね。

ーまた事業をやっているんですね。本当に商売人に囲まれていますね。

そうですね。親戚は商売人ばかりです。

浅井さん2-2-min

月額500円のプライシングも祖父の影響

ー親戚で集まると、ちきゅうの話もしたりするんですか?

はい、決算書も見せました。「価格が安すぎる」「永遠に儲からないんじゃないか」とダメ出しされました。笑

ー良いですね。笑 充実した起業家生活を送っているようで。

ネット系はほとんど初期投資もかからないので、みんなもっと起業したら良いのにと思いますね。

ーそれはおじいさんのように、10回以上失敗しても大丈夫という考えがあるからでしょうか。

はい。でも僕は10回も失敗したくないですけどね。笑

おじいちゃんは48歳で成功しましたけど、それまではすごく貧乏で、うちの父が子供の頃は、学校で一人だけ麦ごはんと梅干しのお弁当だったそうです。

ーなるほど、そういった貧乏時代のお話も聞いているんですね。おじいさんが失敗しても投資し続けた、エンジェル投資家さんもすごいですよね。

そうですね。おじいちゃんも12回失敗したら、さすがに商売の才能が無いんじゃないかと思いそうですけどね。笑

普通8回目くらいで思いますよね。

ーいえ、8回でも遅いですね。笑

何回失敗しても、おじいちゃんには自信があったんでしょうね。

ーでも経営者にとって自信はすごく重要な要素ですよね。ロジックを立てたら「このビジネスでは上手くいかない」ということって多々あるじゃないですか。そこで「いや、上手くいくんだ」という前提で進められるのは経営者しかいない。エクセルに線を引けば、辛いかどうかは誰でも分かります。そこで根拠がなくても「いや、いけるから」と言い切れるのは経営者しかいませんし。それができないと、苦しいビジネスは立ち上がらないですよね。

そうですね。

おじいちゃんに関しては、あとはおばあちゃんの支えも大きかったでしょうね。旦那が12回も事業に失敗しているのに、家庭を支え続けたんですから。

ー本当ですね。普通だったら3回目くらいで「もうやめてよ」という話になって離婚しそうですよね。

おじいちゃんの言葉では「従業員やお客様に対して道徳的に良いことをしていけば利益はついてくる」というのも心に残っていますね。

今でもいろいろとおじいちゃんの言葉を思い出します・・・価格が安すぎるとか。

ーそれはおじいちゃんの言葉じゃなくて、親戚のツッコミですよね?笑

でもちきゅうを月額500円にしたのは、実はおじいちゃんの影響もあるんです。おじいちゃんが創業した「芝寿し」は原材料の価格が上がっても、企業努力で創業以来ほとんど値上げしていないんです。今でもボリュームのあるお弁当を、数百円で売っています。

「たくさんの会社に、無理のない出費で、データベースマーケティングを活用して欲しい」という想いがあって、月額500円に設定したんです。

ーなるほど、ちきゅうのプライシングには、そんな裏話があったんですね。大丈夫ですか・・・一生500円でいきますと宣言しているようなもんですけど。笑

価格変えにくくなっちゃいましたね。笑

おじいちゃんの言葉で心に残っているのが、もうひとつありました。1年かかるかもしれないし、10年かかるかもしれないけれど、考えている時間が勿体ないので、自分が思い描く成功に向かって毎日積み重ねていくことが大事だと。資金さえショートしなければ、必ず成功に辿り着けると。

ーなるほど。「資金さえショートしなければ」という条件がめちゃくちゃ難しいですが・・・。笑

浅井さん2-3-min

「資金さえショートしなければ、必ず成功に辿り着ける」58年前に芝寿しを創業した浅井氏の祖父の言葉は、近年スタートアップで成功を収めた多くの経営者が説く「立ち続けること、生き残ることの重要性」とリンクする。

浅井氏の祖父には、学びある失敗の重要性が見えていたのだろう。エンジェル投資家との関係を保ち続けるために、並々ならぬ努力をしたのだろう。

インタビューの中で出てきた「従業員やお客様に対して道徳的に良いことをする」これもまた、再起を前提とした時にとても重要な要素だ。半世紀以上前から浅井氏の祖父は、現代のスタートアップと非常に近い経営哲学を持っていると感じた。

これらの話を冗談交えながら、活き活きと語る浅井氏の姿からは、経営が楽しくて仕方がないという様子が伝わってきた。さて、偉大な経営者たちのDNAをもって、浅井氏はこれから「ちきゅう」をどのように進化させていくのだろうか・・・。

-End-

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
運営会社:クラウド顧問サービス|Bizer

運営会社:クラウド顧問サービス|Bizer

バックオフィス業務のストレスから開放されよう。Bizerは、総務・労務・経理などの幅広い業務をまとめて管理できるバックオフィスのプラットフォームです。

ページトップへ戻る

関連記事

人気記事