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【Part1】「3年間は全部イエスって言おうと決めました」ENERGIZE GROUP代表・生嶋氏を形作った地べた時代

2009年に設立後、納入業者との仕入れ単価の削減交渉を支援する「コスト改善プロジェクト」や、経営者向けのコーチングプログラム「すごい会議」等のコンサルティング事業を提供し、成長を続けるENERGIZE GROUP。現在は20人に満たない少数精鋭のチームで、年間約10億円を売り上げる。

一見、順風満帆に見える同社だが、代表の生嶋氏はこれまで幾度となく苦難に直面し、その度に地べたを這いつくばるような覚悟で仕事と向き合ってきた。

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5年目で訪れた2つの転機

ー1,2年目が体力的に一番しんどかったとおっしゃっていましたが、3年目からは仕事の内容が変わったんですか?

仕事内容は同じだったんですけど、地域が変わったんです。1,2年目はずっと大阪だったのが、3年目からは福岡がメインになって、ホテル暮らしが始まりました。

いつ帰っても怒られないし、チヤホヤされて部下もついて出世コースだったので、調子に乗っちゃって・・・そこからの2年間は数字が上がらなくなりました。1,2年目の貯金を食いつぶして、全然数字が上がらないわけではないんですけど、平均値よりはやや上みたいな。

ーなるほど。部下がついたということは、マネジメントも経験し始めるわけですよね。

でも僕マネジメントなんて教えてもらったことないので、自分が上司にされていた体育会系のマネジメントをそのままやっていたら、その部下は辞めてしまいました。

ー数字も上がらず、マネジメントも苦戦されていた時期だったんですね。そこから何か転機はあったんですか?

転機は2つありました。まず5年目に結婚することが決まりまして。

当時は支店長やマネージャーと毎日飲んで、お金もバンバン使っていたので、借金ばっかりあったんですけど・・・結婚が決まったので借金の返済のために、自分の給料を上げなければならない、つまり売上を上げるしかなくなったんです。

もう一つは、お客さんが倒産するというのを経験しました。この経験から、もっとお客さんの方を向かなきゃいけないなと思いました。今までは自分の数字とか上司に怒られないための、内向きの仕事をしていたことに気づいたんです。

しかもその倒産した会社が、家族経営だったんですね。これから一緒になる家族に、こんな想いをさせるわけにはいかないっていうのも感じて・・・初めて、自分以外の何かのために頑張るという意思決定をしたのがこの5年目です。

ーこれから家族を持つ人が、家族経営の会社が潰れるのを見ると、思うところありますよね。

そうなんです。そこから、お客さんにとってこれが最適なものなのかを一生懸命考える時間が増えました。どうやったら決まるのかしか考えていなかったんですけど、どうやったら喜んでもらえるのか、どんなサポートができるのかを考えるようになりましたね。

ーそこからまた売りまくるわけですね。

はい売れました、まぁ売れましたよ(笑)

ーお客さんのことを考えて、それが数字としてもついてきたんですね。それはまた良い経験ですね。

そうですね。あとはチームとしてもMVPを獲れて、それはすごく大きかったですね。14ヶ月連続達成をしたんですよ。中国・四国・近畿圏を6人くらいのチームでやっていました。

ーその頃は、マネジメントもだいぶ意識されていたんですか?

していました。1年生が2人と、僕より年上の人が3,4人と、僕というチームでした。なので言葉遣いとかもかなり気を使いましたよ。

ーなるほど。よく優秀なプレイヤーだった人が、プレイングマネージャーになった時にひとつ分岐があるという話をよく聞きます。最終的に「俺が3人分売るよ」ってなって、でも実際はそんなことできなくて、一人一人と向き合って結果売れるようになった・・・っていうのが一般的には多いストーリーだと思うんですけど、生嶋さんの場合はそこは苦労せず、すぐにチームでも売れたんですね。

そうですね。ずっと野球をやっていたからですかね。チームスポーツで、まさに役割分担じゃないですか。しかも僕は2番を打っていたので、繋ぎ役だったんです。

この頃には自分が数字を上げることにあまり興味が無くなって、チームとして達成するということが楽しくなった時期でしたね。

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突然訪れた独立

ーその頃は将来についてはどう考えていたんですか?

お客さんの会社に役員で入ったりもしていたので、昔よりは自分で経営をしたいという気持ちは強くなっていました。

ただ、そうはいっても今は抜けられないっていう思いがありました、僕のチームも40人くらいに膨れ上がっていて。実際は抜けても大丈夫なものなんですけどね(笑)

その後、部署異動になったんです。全国のクレームを処理して回る「社長特命室」という部署に異動になって、最後の一年は火消しをやっていました・・・良い経験でしたよ。

ーそれは・・・今だから良い経験って言えるわけですよね。

僕がイエスって言うまでほぼ軟禁ですよ。怖かったですよ・・・。

ー1年もよく続けられましたね・・・責任感ありますよね。

育ててくれたご恩がありましたからね。

あとは、そもそも転職とか独立とかあまり考えずに一心不乱にやって、数字も上がって、自分の給料も上がっていたので不満は無かったんですよね。

ただクレームの現場を見ると、果たして自分が本当にお客さんのためにやれているのかというのはすごく考えましたね。でも責任は全うしなきゃいけないので・・・揺れました。

転機は、僕が火消しの前にいた部署が年間20億円くらい売り上げていたので、その部署だけ売却するという話になって。他の部署で働くイメージもなかったので、ようやく僕もお役御免かなと。

そのタイミングで、新卒からお世話になっていた上司が独立するということで、現ENERGIZE共同代表の秦と一緒についていくことにしました。

ーそうだったんですね。その会社にはどのくらいいたんですか?

実は半年で辞めたんです。役員として入ったんですけど、なかなか事業が軌道に乗らなくて、ついに人員整理の話になりまして。

それで、僕と秦が辞めれば、他のメンバーの給料も払えるでしょという話をして、他のメンバーは残してもらって、僕たちは辞めて独立しました。

ーそんなきっかけだったんですね。

そうです。それで役所行って会社設立の手続きも全部自分たちでやって、ENERGIZEを作りました。

とりあえず独立を決めたって言う感じですね。意思がある起業ストーリーじゃないですよ、僕。

ーとなると、たいした準備もなくですよね?

何にも決まっていなかったので、何をするか決めるために1ヶ月くらいずっと喫茶店にいました。ただ僕たち2人は昔売れていたので、売るということに関しては自信があって、その自信で麻薬的に不安を和らげていました。

結局全然売れなかったですけどね。初年度は血尿が4回くらい出ました(笑)

ー今この状況だから振り返って話せますけど、当時はたまったもんじゃないですよね。

はい。子どもも生まれていましたしね(笑)

辛かったですよ。当時持っていた2人の車も売りましたし、お金になるものは全部売りましたね。どんどん白髪も増えていって・・・(笑)

ーそんなに甘くはなかったってことですね。売れなかった原因はなんだったんでしょうか?

慢心ですね、とはいえ2人分なら何とかなっていたんです。2人が贅沢をせずにやっていく分には稼げていたので、本当の危機感は感じていなかったんだと思います。

それが1年半後に一人社員を雇ったんです。そこから、給料を払えないかもしれないという思いが出てきて、初めて危機感が沸いてきました。

僕と秦なら「今月ヤバかったね、給料半分にしようか」って言えますけど、人生にコミットして入ってくれている人に、給料半分にするなんて言えないですよね。

ー人の人生が乗ることで、リアルになったんですね。それで2年目からビジネスを回して軌道に乗せていって・・・良いきっかけでしたね。その方が入らないと、2人でずっとやっていたかもしれませんよね。

そうですね、もっと言うと一人一人でやっていたかもしれません。本当の意味での起業は、ここだったのかもしれませんね。

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今後は採用に注力して組織拡大を目指す

ー最後に、今後の事業展開についてお聞かせ頂けますか。

BtoBとBtoCの領域を両方やりたいと思っています。ざっくり言うと今はBtoBで10億円くらいなんですけど、2年後にBtoBで20億円、3年後にBtoCで20億円の計40億円を目指します。

BtoBに関しては20人20億円という会社を作りたいんです。そうしたら十分周りに投資できるだけのキャッシュは残るので、それを元にBtoCをやっていきたいです。

ー明確に言えるということは、ある程度は見えてきているんですね。

そうですね、見えてきていますね。20人20億円のメンバーも、半分くらいは顔が浮かび始めています。

ー会社経営をしていて、生嶋さんが今一番力を入れているのはどこなんですか?

採用です。僕より優秀な人材を何人獲るかですね。

今は創業メンバーがいて、創業メンバーにくっついて来た中堅メンバーがいて、新しいメンバーがいるという状況なんですけど、今この中堅メンバーがポイントで、新しい優秀なメンバーの突き上げによって彼らにもっと頑張ってもらいたいんです。

ボトムが上がっている感じはします。組織としてはこれからですよ。

ーなるほど。すごく楽しそうですね。

楽しいですよ、最近は組織づくりばかり考えているので。とはいえ、もちろん売上のことも考えなきゃいけないんですけどね。

ー大丈夫ですよ、生嶋さんみたいな人はもうコケようがないと思います。いろんな失敗や、気を抜いたら業績が上がらないのも経験していますし、地べた這って苦しいこともやってきていますし。着実なラインは守れるんじゃないですかね。

むしろ来季は売上落ちてでも、組織を固くしたいとは思っています。ですので、覚悟しないといけないなと・・・難しいですけどね。

ー良いですね。学問として勉強した経営もそうですし、厳しかった上司の教えもそうですし、辛かった時期も経て、全てが血肉になっているんですね。

そうですね。だいたいのことは受け入れられます。ストレス耐性は高いらしいですね。ストレスとして感じないらしいです(笑)

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自ら「意思がある起業ストーリーじゃない」と語るように、半ば追い込まれる形で起業を選択をした生嶋氏のストーリーは、起業家の中でも珍しいものなのかもしれない。

しかし振り返ってみれば、学生時代の失敗や、新卒で入った会社での壮絶な下積み、仕事の合間に続けた経営の勉強など、過去の点と点が全て線で繋がって、今の生嶋氏やENERGIZE GROUPを形成していることが分かる。

強い責任感を持ち、常に目の前のことに人並み以上の熱量で取り組んできた生嶋氏であれば、例えそれが起業であろうがなかろうが、何をやっても上手くいく・・・そう感じさせる人間的な強さをもった起業家であった。

-END-

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