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【Part1】「数字作れないやつが事業やりたいなんて、ちゃんちゃらおかしい」リクルート卒レストラン経営者・青池氏の生き方

銀座でイタリアンレストランを2店舗経営する、株式会社フェリーチェ代表の青池氏。元々は大学卒業から7年間、リクルートでバリバリのビジネスマンとしてキャリアを積んできた人物だ。

組織を率いて、事業拡大に全精力を注いできたリクルート時代を経て、目の前のお客さん一人一人と向き合っていく道を選んだ青池氏。その決断の裏には、大きなきっかけがあった。

青池さん2-1-min

新規事業の立ち上げを経験

ー売れなかった暗黒の1年半を経て、そこからは一気に波に乗っていったんですね。青池さんはリクルート時代は売れっ子でしたもんね。

売れ始めると、そこに心地良さを感じたんです。

ーでも慢心することはなく。

リズムを崩すと壊れるんじゃないかと思って、朝は早く来て、夜は遅くまで仕事をして、自分をマネジメントしていました。

モチベーションが下がるとかもなかったですね。下にメンバーが出来たり、上からの期待値が上がったりして、「それに応えたい!」っていう。人に活かされていた感覚が強いです。

ーFNXの事業にはどのくらい携わられていたんですか?

3年くらいですね。その後はゼクシィに異動しました。当時全社で一番沸いていて、その渦に飛び込んでみたいと思ったんです。

ーゼクシィではどうでしたか?

ゼクシィでは「この花が綺麗だ」とか「このテーブルクロスが良い」とか、各論で議論されることも多かったですけど、僕はFNXで「流通がどうなってるか」とか「競合はどこか」とか、マーケットを俯瞰して見る癖がついていたので、あまりそういう話にはならなくて。

それが逆に良かったのか、お客さんにマーケット分析を出すと「3年目でその考え方凄いね」って言ってもらえたりして、結果も出すことができました。

ーFNXでマーケティングのスキルがついていたんですね。

そうですね。それで1年くらい経ったタイミングで、知り合いの立ち上げたばかりの会社に営業部長として誘われました。

魅力的だなと思って上司に相談したら「それ、リクルートでいくらでも出来るよ」って。「事業を作りたいんだったら、今までの経験を活かして1からやってみればいいじゃん」って言ってもらえて、異動が決まり、新しいマーケットを開発をする部隊に配属してもらったんです。

社内にそういうポジションも無かったんですけど、作ってくれて・・・リクルートは本当に良い会社で、言ったもん勝ちなんですね。

ーとはいえ何も実績を出してない人が言っても通らないと思いますし、それだけの実績を出していたってことでしょうね。

でもそのグループでは僕より全然実績のあるスーパースターたちが社内外から集まっていて、そんな人たちの中に入っていったら・・・まぁ自分使えない(笑)

得意なのは営業でしたけど、まず営業するものがないんですよ。「あぁ、これが新規事業なんだ」って。

ーそこではどんな事業を立ち上げられたんですか?

当時ホットペッパー事業で飲食と美容は上手くいっていたので、「次はファッションだ!」ということで、エルーカというメディアを立ち上げました。今でも残っています。

そこではメディアの作り方とか、PL(損益計算書)の作り方とか、カットオーバー時には毎日ほぼ寝ないで働いたりとか・・・「こうやって新しい事業を立ち上げるんだ」っていう、ずっと思い描いていたものを全て学べた感覚がありました。

青池さん2-2-min

改めて気づいた料理への想い

ーなるほど。入社当初に希望していた事業の立ち上げも経験できたということで、それでイタリアに行かれたんですか?

きっかけがありました。エルーカがカットオーバーして、営業の責任者としてどうやって数字を伸ばすか考えたり、毎日仲間と仕事終わりに飲みにいったり、充実した日々を過ごしていた矢先に母親が病気で亡くなったんです。

生きること、死ぬこと、自分の生き方はこれで良いのか悶々とした日々を過ごしていたら・・・さらにその年に、仲良くしていた後輩も亡くなって、1年で親しい人を2人亡くしたんです。

そこで本気で自分の道を模索しはじめて、子どもの頃にまで遡って「何がやりたかったんだっけ」ってたぐり寄せて・・・「あ、そういえば高校の時、イタリアに行きたかったんだ」って・・・料理に行き着いたんです。

ーそうだったんですね。

当時の上司も応援してくれたので、母親に「行ってくる」って墓前で報告して、それでリクルートを辞めて1年間イタリアに行きました。

修業先で仲間も見つけて、帰るタイミングが一緒だったので「一緒にお店をやろう」って言って、帰国後に一軒目のお店をオープンしました。

ーお店は、個人事業でなく株式会社を設立されたんですよね。

そうです。定款作ったり公証役場行ったりといった手続きは、税理士さんや行政書士さんにお任せで。

飲食店だと最初個人事業主で始めて、その後法人化する人も多いです。個人事業主は課税売上が1000万円を超えると消費税を納税しないといけなくなるので、超え始めるだいたい2年後くらいで法人化する、法人化後2年間は(資本金が1000万円未満なら)また免税になるので、立ち上げから計4年くらい免税になるっていう考え方ですね。僕は最初から法人登記を選択しましたけど。

ーなるほど。ビジネスのキャリアも活かしてやっていこうと思っていたんですか?

いえ、もう純粋にお店をやろうと思っていました。子どもの頃の気持ちに戻っていて、美味しいものを出して、みんなに喜んでもらう場を作りたかったんです。

ー今は2店舗経営されていますが、事業拡大についてはどうお考えなんですか?

2店舗目を始めたのは、立ち上げメンバーが育ったので、新しいポジションを用意してあげたかったからです。最初のお店のキッチンスタッフに、十分料理長を任せられるだけの力量がついてきたので、何とか機会、ポジションを用意して新たなチャレンジをさせてあげたかったんです。

やりたいことがあるのに、社内で出来ないとなれば、転職するしかありませんから。僕がリクルートの時に、いろんな方に機会を用意していただいたのと同じですね。

ービジネスへのアプローチに関しては、リクルートで学んだことを”捨てている”のかもしれませんが、「組織」とか「人」に関しては、リクルートでの経験を引き継いでいるんですね。

そうですね、結局人ありきの事業なんです。お店の個性を出そうと思ったら、まず任せられる料理長、店長が育って、それに付随するサービスとスタッフが空気感を作っていく。

子どもを預けるようなものですね。この苦しんで産んだ子どもを、誰に預けようっていう。

ーでも7年もリクルートでやっていたら、店舗を増やして事業を拡大していくっていうビジネス的な方向で考えそうですけど、そこは小さい頃からの夢や想いが勝っているんですか?

そうですね。成功した店舗をマニュアル化していけば、ある程度は人じゃなく仕組みで拡大していけるかもしれませんが、今はやるつもりはないですね。

ー良いですね。ご自身のペースでやっていて・・・充実している感じが伝わってきます。

日々生きているっていう実感があります。いつ死んでも後悔しないですね。

青池さん2-3-min

リクルート出身の起業家は多い。中には革新的なサービスを生み出したり、大きな組織を率いて数百億、数千億の売上を作っている経営者もいる。

しかし青池氏は、そういった経営者たちとは少し異なる。ビジネスマンとしてのキャリアを捨ててでも、幼少期の自分の想いに正直に生きていく道を選んだ。

青池氏が今求めるものは、事業を立ち上げるスキルでも、大きな売上でもない。

ー今の青池さんは、経営者というより職人に近いですよね。

そうかもしれませんね。日々お客さんを迎え入れて、楽しんで帰ってもらうっていうだけです。毎日手応えがありますし、その人がもう一回来てくれたら最高ですね。

-END-

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