起業スイッチ

一説によると、一生のうちに出会う人の数は3万人。一体そのうちの何人が、深く関わり合ってくれるのだろうか。

今回インタビューした青木氏は、訪日外国人向けのWebメディア『MATCHA』を運営する、平成生まれ、SNS世代の若き起業家だ。SNSやブログを活用して情報発信することで、多くの仲間を集め、協力を得て、事業を立ち上げている。青木氏の人を巻き込む才能は、圧倒的だ。

編集部の解体や翻訳者チームのクーデター、エンジニアの失踪など、数々の苦難も乗り越えながら、仲間とともに日本の魅力を世界に発信し続ける青木氏のこれまでを追った。

 

少林寺、サッカー、卓球、パソコン、野球、シンクロ・・・とにかく新しい挑戦が大好きだった

—今回のインタビューでは青木さんのルーツに迫りたいので、まずはどのような少年時代を過ごしていたか、お聞かせ頂けますか?

はい。地元は東京の東久留米です。授業中に手をあげられない、全く自信のない子供だったのですが、小4のある日、友達に誘われて少林寺に通い始めてから自信がついて、いろいろなことに挑戦したいと思うようになりました。小6でサッカーを始めて、中学では3年間卓球をやりました。

あと・・・中学2年生の時、父親に「お年玉が20万円くらい貯まっているけど、パソコンを買った方が良いんじゃないか?」と言われてパソコンを買いました。なぜか最初の半年くらいは、父親のパソコンになっていましたけど。笑

—お父さん面白いですね。笑

そこからパソコンにハマりました。14年くらい前なので、MSNメッセンジャーとか、ザ掲示板とか、2ちゃんねるとかの時代ですね。

—それが中学2年生なんですか!Winnyが流行りまくっていた時代なので、私は大学生でしたね。笑

知らない人とメッセンジャーでやりとりするのが楽しくて、中学の後半は部活よりパソコンに熱中していました。高校でもパソコンや英語を深く学びたくて、商業高校のビジネスコミュニケーション科に二期生として入学しました。

—ビジネスコミュニケーション科、ということはその頃からすでにビジネスにも興味があったのですか?

いえ、ビジネスというよりは何か新しいことが学びたいという、まだふわっとした感じでしたね。

部活もまたサッカーをやろうと思っていたのですが、その時捻挫をしていたので、手だけでできる野球部に入りました。笑

—いやいや、おかしいですよ。野球も足使います。笑

硬式野球は未経験だったのですが、二期生で人数が少なかったので、誰でも入れようとする怖い先輩にサインさせられて入部しました。笑 でも3年間続けましたよ。

—硬式野球を未経験から高校で3年間やるって、すごいですね。

公式試合ではいつも15-3とかで負けるんですけど・・・。

あと高校でもう一つやり切った出来事としては、当時『ウォーターボーイズ』の影響でシンクロが流行りまして。男子が3割しかいない学校だったので男子間の団結力が強く、番長のようなやつが「文化祭でシンクロやるぞ!」と声をかけて、いろいろな部活のメンバーがシンクロに召集されました。笑

夏休みは午前中に泳いで、午後は野球という生活を続けていました。

—全くインターネットが出てこなくなりましたね・・・。笑 その頃もパソコンは触っていたんですか?

はい。高校時代は友達と4人で一つのアカウントを使って、ブログを持ち回りで書いたり、リレー小説を作ったりしていました。今考えると恥ずかしいですね。笑

3年生になると毎日13-15時間勉強して、商業高校だったので大学の一般入試を受ける人は1割程度でしたが、何とか現役で明治大学の国際日本学部に合格しました。日本の漫画やアニメ、ファッション等日本の文化を学問として学んで、世界に発信できる人を増やそうという学部で、ここも新設されたばかりで一期生でした。

—学部を選んだ理由は、グローバルに学びたかったからですか?

そうですね、高校時代から英語はよく勉強していました。父親が会社に勤めながら副業で、ヨーロッパのチョコレートなどを輸入して販売する会社を経営していたので、元々海外に対する抵抗は少なかったんです。

—なるほど。幼い頃からインターネットが好きで、そこに国際的な学びが乗っかったことが、今の事業に繋がっていくんですね。

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大学時代の古着販売やインターンで商売感覚が磨かれた

大学の授業は変わったものが多かったです。大画面に漫画の1、2ページを映して、このシーンについて30分話す、とか。

—めちゃくちゃ楽しそうじゃないですか!

楽しいですよ。デジタルハリウッド大学の杉山学長が非常勤講師で来てくれたりもして、すごく影響を受けました。

—起業しようと思ったのも、そういった授業を受けてですか?

いえ、起業しようと思ったきっかけはまた別ですね。当時スポーツ系のサークルに入っていたのですが、すごくお金がかかって、塾講師のバイトをしていましたが、いくら働いても足りませんでした。そこでmixiの古着コミュニティで、今でいうメルカリのようなことをしました。

例えばコミュニティ内の価格を調べて、「このポールスミスのジーンズなら、9000円で売れるな」と分かると、2000円で仕入れて売ったり・・・すると月10万円くらい儲かるようになりました。

—すごいですね、そんなに儲かるんですか。

さらに稼ぎたくて、その後は新聞営業の仕事を3、4ヶ月やりました。 しんどかったですけど、成果報酬なのでちゃんと契約が取れると3時間で2万5000円くらい稼げました。

—青木さんはそういった営業をやるイメージが全くなかったですね。自らそのお仕事を選んだんですか?

そうです、割が良かったので。辞めた後も、また何かしようと思って調べていると、なぜかとあるインターンの募集に辿り着きました。「社長になりたい人募集!」みたいな。笑

—それは・・・今考えると絶対に怪しいやつだって分かりますよね。笑

超怪しいですよね。笑 でもそこに入りまして、そうするとパソコンを1台買い与えられて「月100万円売り上げてね、週5出られるよね」と言われて、ネットショップの店長の仕事が始まりました。当時5人くらいインターンがいましたが、それぞれが1店舗ずつ担当していました。

—何を売っていたんですか?

いろいろですね。

—その会社、ボロ儲けですね!インターンの時給なんて1000円くらいですもんね。

そうです、それで月100万円とか売り上げるわけです。コピーライティングもどんどん上手くなっていきました。このコピーだと5万円は売れるな、とか・・・。笑

—なるほど。スキルアップしていくんですね。笑

あとインターン先の社長とは月に1回飲み会があって「社長と従業員は水と油だ」という話を毎回聞かされました。当時は何のことか全然分かりませんでしたが、今考えると、「なるほど!」と思うことも多いですね。

—それは良いですね。社員に腹を割って言えないことって、たくさんありますもんね。

そうですね、言っちゃいけないこととか、見せ方を変えなければならないこととかもありますよね。良い言葉をもらったと思います。その他にも、商売の原理原則を教わりましたね。

—ブラックな会社かと思いきや、ちゃんとしていますね。

そうなんです。教えることは教えてくれたので、僕はすごく感謝しています。

このインターンやmixiの古着販売で商売感覚が養われて、将来は自分でビジネスをやりたいと思うようになりました。インターンの同期と上司も、全員起業しています。そういった環境に置かれると、自分で事業をやりたくなるのだと思います。

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SNSを活用して、人と会いながら世界を一周

元々ベンチャーに興味を持ったのは、ライブドア事件でした。中学生の時に父親が読んでいた日経新聞を真似して読んでいたんですが、毎週のようにライブドアの動向が一面に上がってくるわけです。それがすごく面白くて、ベンチャー、堀江さん、あとはサイバーエージェントの藤田さんに興味を持つようになりました。

インターンを辞めたあと、久しぶりに堀江さんのブログを見ると、Twitterを始めていたので、真似して自分もTwitterを始めてみました。同じ景色が見えるかなと思い、まずは堀江さんと孫さんがフォローしている人たちを、全員フォローしました。

—ものすごい数じゃないですか?

いえ、当時はまだ600人くらいだったと思います。

その中で、とある有名IT企業の執行役員の方がフォローを返してくれました。青木優という名前なので、女性かと思ったそうです。お会いしたいと伝えたら「会ったこともない男と二人で会いたくない」と最初は断られました。笑 でも「今度三茶で立ち飲みの会やるから、良かったら来なよ」と言って頂いたんです。

行ってみると有名企業の社長や役員の方々が集まっていて、ふわっと「将来はインターネットの仕事をしたい」と言ったら「考えが甘いよ」とボコボコにされました・・・。

—まさにインターネットの仕事の最先端を行っている人たちですもんね。

はい。「インターネットの仕事って具体的にどういうもの?」と聞かれて、まだ答えられませんでした。でも良い問いをたくさん頂きました。

あとはたまたまフォローした人が世界一周旅行の経験者で「学生のうちに世界一周しよう」と啓蒙していたので、僕も大学3年生の9月にタイとカンボジアとマレーシアに一人旅をしました。それが旅への興味のきっかけになりました。

その半年後に大学を休学して、7ヶ月くらいバックパックで世界を回りました。

—この旅でも、基本的には人に会っていたんですか?

そうですね。Twitterのプロフィール検索で「ロンドン 在住」と検索すると、ロンドン在住の方がリストアップされるので、面白そうな人に連絡したり、Facebookコミュニティで現地の大学生と連絡を取り合って、会ったりしていました。

日本でもFacebook Japanが設立された半年後くらいだったので、SNSを活用して世界一周をするとキャッチーなんじゃないかと考えて、ブログも立ち上げて回っていました。

—なるほど。世界一周のテーマとしてSNSを活用するというのは、当時としては確かに新しいですね。

その中でいろいろな方に出会いましたが、一番衝撃的だったのが堀淵清治さんという、日本の漫画のライセンスを持って、北米に売るということをやられた方です。堀淵さんとの出会いは日本に帰国する前日だったのですが、日本のものを海外に出していくという、自分がやりたかったことを30年くらい前からやっていたんです。

—その出会いもSNSですか?

いえ、堀淵さんは楽天の役員の方(当時)に紹介頂きました。この領域でビジネスをやりたいという、最後の後押しをされた出会いでした。

ちょうど5ヶ月前に再会したのですが、実はブルーボトルコーヒージャパンや、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンの社長もされていることを知りました。文化ローカライズのプロです。そういった方々に旅の中で出会えたのは、大きかったですね。

—旅をしつつも、観光ではなく常にビジネス的な思考を持ち続けていたんですね。

そうです。そこが、ただ旅をしたという人と違うところだと思っています。旅を経て起業する人も多いですが、皆さん元々そういった思考を持っていますね。

—なるほど。旅をしても何も変わらなかったという人はよくいますが、目的意識を持つことが大切なんですね。

 

幼少期から常に様々なことに興味を持ち、様々な人と出会い、影響を受けてきた青木氏。点と点が線となり、いよいよ自身の夢を叶えるため、起業へと足を踏み出していく・・・。

Part2に続く-

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