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SNSを活用して世界一周しました」MATCHA代表・青木氏の、人と繋がり、進む旅【Part1

一説によると、一生のうちに出会う人の数は3万人。一体そのうちの何人が、深く関わり合ってくれるのだろうか。

今回インタビューした青木氏は、訪日外国人向けのWebメディア『MATCHA』を運営する、平成生まれ、SNS世代の若き起業家だ。SNSやブログを活用して情報発信することで、多くの仲間を集め、協力を得、事業を立ち上げた経験を持つ。青木氏の人を巻き込む才能は、圧倒的だ。

編集部の解体や翻訳者のクーデター、エンジニアの失踪など、数々の苦難も乗り越えながら、仲間とともに日本の魅力を世界に発信し続ける、青木氏のこれまでを追った。

学部と旅と映像の仕事、全てが繋がり起業

—世界一周から帰ってきた後は、どのようなアクションをされていたんですか?

その年に、日本のポップカルチャー研究家の櫻井孝昌さんと仲良くなりました。カタールと日本の国交40周年を記念した、国際ブックフェアのプロデューサーをやられていたので、アシスタントとして2週間カタールでお手伝いをさせて頂きました。

世界に対して日本文化の提供者となって、その構造を学べたのはすごく良い経験でした。

—日本文化というと、漫画とかですか?

はい、漫画とかコスプレとかです。カタールもオタクが多いんですよ。

—カタールの人って日本文化に詳しいんですか?

コアな人も多いですよ。僕の知り合いに、年に1回カタールから日本に来る女の子がいるんですけど、ジャニーズの山ピーが大好きで、チケットを買ってくれと連絡が来ます。笑

—そうなんですね。何がきっかけで日本のジャニーズを知るんですかね?

おそらく伝染していくんでしょうね。まずはアニメから入って、歌にいって、アイドルにいって・・・。

—それを現地で、肌で感じたわけですね。

そうですね。あとオタクの顔って万国共通で、秋葉原のオタクと、カタールにいるオタクは、顔つきが一緒なんですよ。「国籍関係なく、オタク顔ってあるんだ」というのも面白い発見でしたね。笑

—それ面白いですね。笑 このアシスタントの体験で、今のビジネスの骨格が見えたのですか?

方向性だけは決まっていきましたね。4年前のブログにも、インバウンド関係をやろうと書いていました。

同じタイミングで、とある知り合いからオーギュメントファイブという会社の映像が送られてきて、それがすごく格好良かったんですね。のめり込んで、朝6時くらいまで観てしまいました。

調べてみると、どうやら社長さんとFacebookで友達だったんです。自分のブログを読んでくださって申請頂いて、繋がっていたので、20行くらいの暑苦しいメッセージを書いて、会ってくださいと伝えると、すぐに「ぜひ」と返ってきました。多分、文章読んでないですよね。笑

でも、会おうと言ってきた人に対して「いいよ」と言える、この人はきっと面白い人だと思って、会いに行きました。予想通りの面白い方で、自分のブログで記事にして取り上げると2万人がいいねしてくれて、映像は150カ国で200万回再生されました。

—私も当時フィードに流れてきました、京都とか草津の映像ですよね。あのバズの仕掛け人は青木さんだったんですね。

オーギュメントファイブにはその後アシスタントとして入って、Googleの軍艦島ストリートビューの仕事に関わらせてもらいました。ただ自分自身で何かをやりたいと思ったのと、モノは良いけど再生回数500の映像とかも世の中に腐るほどあるので、それを広げるメディアが必要だと感じました。

それでオーギュメントファイブを辞めて、ちょうど東京五輪が決まったタイミングでもあったので、メディアという切り口から日本を発信しようと思って、会社を立ち上げました。

自分の中で学部と旅と、映像の仕事が繋がった瞬間でした。

2-2

編集部の解体、翻訳者のクーデター、エンジニアの失踪

—会社を作る際、組織については考えていたんですか?

創業メンバーとは全員Twitterで知り合いました。一人は同い年のインドネシア人と日本人のハーフ。ブログを読んで興味を持ってくれて、Skypeで事業を説明したら「面白い。一緒にやりましょう」と言ってくれました。

あとは、ブログ『隠居系男子』を運営している鳥井弘文さんとTwitterで何度かやりとりをしていて、会社を作る4日前にお会いして事業について話しました。翌日に「興味があるので、一緒にやりましょう。」と言ってくれました。

もう一人はオタクな編集者の友達がいて、対海外発信だったらオタクだろうということで入ってもらいました。笑

一ヶ月くらいどういったコンセプトでやるのかを練った後、ブログで発表するとめちゃくちゃ反応があって、2ヶ月で400件くらい問い合わせがありました。そこから1ヶ月半で200人くらいと会いました。編集者が見つかったり、帰国子女の大学生に翻訳をお願いしたりして、どんどん進んでいきました。

—すごいですね。スタートアップの人集めの苦労の、真逆を行っていますね・・・。

そうですね、怒涛のごとく連絡が来ましたね。人集めは良くも悪くも困りませんでした。

あとは毎日朝8時から1時間おきに人と会って話すうちに、自分の中でもビジネスプランが整理されて、シャープになっていきました。

—すごく良い滑り出しですね。

MATCHAを立ち上げて1週間が経った頃、東急ハンズさんや、経産省からも連絡が来て、案件が発生していきました。最初のクライアントは東急ハンズさんです。

—メディア業で、1週間でクライアントがつくってあまり聞いたことがないですね・・・。普通は半年とか潜ったりするじゃないですか。

ただ、苦労もたくさんありました。当時は日本でウケるコンテンツを目指していたので、翻訳できない文章が多かったんです。例えば「夏といえば、風鈴」という文章は、日本人であればイメージできますが、海外の人だと、そのまま英語にしても分かりません。「江戸時代」も「Edo era」では伝わらないので「1600年くらい」と書かなければならなかったり、日本語の文章を書く際に気をつけないと、翻訳者がすごく困るんです。

そこで編集者と翻訳者の戦いが発生して・・・僕は翻訳者の意見を選びました。日本のものを発信する、という点では編集者とも共通認識がありましたが、僕は海外に向けて、その編集者は日本に向けてだったんです。別れたのは仕方ないとして、その時に編集部の8割がその編集者についていきました。

—なるほど・・・スタートアップあるあるですね。副社長や別の創業メンバーについていくパターンは多々ありますね。

人がいなくなるわけです。超辛かったですね・・・。メディアを立ち上げてから半年くらいの時でした。残ったメンバーで編集部を再編成して、僕も記事を書いたりしました。

そんな時に手伝ってくれていた女の子が、人が足りないのでWantedlyを使いましょうと提案してくれました。説明会に行ったり、Wantedly社員の方に話を聞いたりして成功方式を引っ張ってきた上で、一緒に文章を書いて募集をかけたら、数百人レベルでコンタクトがありました。結果として、今では3000人以上が応募してくれています。

また面接の日々が始まり、そこで出会った方々が今の中核の社員となっています。ですので、その女の子がいなかったらヤバかったですね・・・。

—なるほど。うまくWantedlyで補強できたんですね。

もう一つ大変だったエピソードとしては、翻訳者のリーダーたちがクーデターを起こしたこともありました。当時はオフィスがなかったので、ずっとオンラインで繋がっていました。するといつの間にか裏LINEグループができて、僕を降ろそうという話になっていました。

—降ろすといってもあくまで仕事を依頼している委託先で、社員ではないですよね?

はい。でも力が強くなりすぎていて・・・一度切り離しました。ほぼ全員に辞めてもらって、また探し直しです。翻訳者の中で筋が良かった人には、リーダーに上がってもらったりして、立て直しました。

人生で一番悪口を言われていた時期だったので、これも辛かったですね・・・。

—原因は何だったんでしょうね。

直接コミュニケーションしきれていなかったというところと、ベンチャーなのでやはり対価は平均より少なかったというところでしょうか。

去年の11月にはエンジニアが急に失踪したこともありました。その時もシステムが止まってしまって、困りました・・・。

—辛かった経験を活かしてレベルアップしたいですよね。今はどういったことに気をつけているのですか?

コミュニケーションが足りていなかった点については、各部長と月に1回意識的に飲みに行ったり、役員とは毎週お昼に行ったりしています。飛び回ることが多いので、認識のズレをなくそうとしています。

あとは毎月30分間、メンバーと目標に対する定性定量の進捗共有や、不満を聞いて解決する時間を取っています。

—良いですね。そういったアクションはどこで学ぶんですか?

投資家や先輩経営者からが多いですね。一時期は夜の11時くらいに電話して「どうしたらいいですか」と相談したりしていました。

僕が何を考えているのかについては、今はとにかく言うように意識していますね。

—なるほど。1チームのベンチャーというよりは、組織になっていますもんね。

それも人が増えてどうすべきか考えた時に、部署ごとに責任者を立てた方が自走するんじゃないかと、トラブルから学んだ結果です。

2-3

今の事業を社会化させたい

—資金調達はどうされていたんですか?

1人目は『ことでん』という香川県の電鉄の社長さんに個人で出資頂いて、今年の3月に個人で2人出資頂いて、あと『グローバルWifi』をやられているビジョンさんに会社として出資頂きました。

—エンジェルの投資家さんには、どうやってお会いしているんですか?

トーマツベンチャーサポートさんに手伝って頂くこともありますが、ことでんの社長の真鍋さんにはバックパックをしている時にお会いしました。「神戸からジャンボフェリーで高松に行きます」とTwitterで呟いたら、香川大学の学生から「夜飲みに行きましょう」と連絡が来て、行ってみるとその場に真鍋さんがいらっしゃいました。あとはイベントでお会いしたり、紹介ですかね。

—いわゆるスタートアップの、VCを回ってピッチして、という流れではないですよね。

逆にそれは苦手なんですよ。笑

—インバウンドという大きな流れにもうまく乗りましたよね。最初からその流れを感じながらやっていたんですか?

その辺りは結構感覚ですね。でも上手く乗れたと思います。この中で生き残れるように、今は営業を採用しようと頑張っています。

—営業というと、どの辺りに営業に行くんですか?

企業と地方自治体ですね。

—自治体って、予算組み難しくないですか?

関係性が大事なので、そこは行動量ですね。うちの役員が飛び回っていますが、今は100人の良い人とは出会えていても、全員と何度も深く話せるわけではないです。5回以上会うことで、見えてくるお話もあるじゃないですか。営業チームを強化するために、今は営業を4人募集しているんです。

—なるほど。アソビューさんは、自治体の案件を取っていたりしますよね。

そうですね。アソビューはすごいです。
実は、社長の山野さんは大学の先輩で、起業する前から今もよく相談にのっていただいています。
先日も山野さん夫妻と、山野さんのお知り合い夫妻と、僕の9人でキャンプに行ってきました。僕は、ずっと薪で火を起こしていました。笑

—すごい布陣ですね。青木さんはどこにでも行けてしまうキャラですよね。笑

感情が見えにくい、とよく怒られてます。とりあえず呼んでおこうみたいな・・・。笑

—いや、すごいです。これから東京五輪もありますし、2020年まではこの勢いでグッと伸ばしていくわけですね。

そうですね。それ以降も続けていきたいですし、今の事業を社会化させたいんです。

—イグジットして個人でキャッシュを得たいとかではなくて、ご自身でこの事業をやっていくことが目的なんですね。

はい。結果的に見返りはあるべきだと思いますし、そうすることでできることも増えるので、取る部分は取りますが、イグジットありきではありませんね。

—お話を伺って、青木さんからはこの事業を10年20年やるぞという覚悟を感じました。

そうしたいです。コンセプトは正しくて、意義もあって、納得感を持って仕事ができているので、あとはビジネスとしてどう成立させるかです。今はいろいろな知恵を教えてもらっている最中ですね。

2-4

一説によると、一生のうちに出会う人の数は3万人。しかし青木氏はその熱意と行動力で、その数を10倍にも100倍にもできる起業家だ。理解者、協力者を増やしながら、青木氏とMATCHAはこれからも成長を続けていくのだろう。

果たして2020年、世界中の人たちの目に、日本はどのように映っているのだろうか。どのような「日本」が、届いているのだろうか。

 

-END-

 

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