起業スイッチ

導入

2007年の創業以来、農業分野のベンチャー企業として注目を集めるマイファーム。

高齢化の進む日本の農業において、代表の西辻氏は若干25歳で当社を設立。耕作放棄地を農家から借りて一般の方に貸し出す「体験農園」から始まって、今では農業家育成スクールや、八百屋に至るまで幅広く事業を展開し、今後は海外をも見据えている。

成長を続けるマイファームだが、今日に至るまでには、お客さん0の創業期、震災による倒産危機、代表交代、社内分裂など数多くの苦難を乗り越えてきた。

何があっても「自産自消(自分で耕し、育て、収穫し、食べる)ができる社会を作る」という当初からの想いと、農業に対する熱い情熱だけは変わらずに突き進んできたマイファームの波瀾万丈な物語について、西辻氏にお話頂いた。

学生時代に芽生えた農業への想い

ー農業に興味をもったきっかけって何なんですか?

僕、福井県の田舎で育ってきたんですけど、使っていない農地って全国にたくさんあるじゃないですか、福井県にもたくさんあって。

当時は単純に「あそこ空いてるから使いたいな」と。そこで面白い作物をいっぱい作りたいなと思ったんですよ。それで、バイオテクノロジーの研究をしようと思って、大学(京都大学農学部)に行きました。

ー目的意識をもって大学に行ってるのがすごいですね。大学って「とりあえず何何学部」みたいに流れがちじゃないですか。

でもそれでいうと、周りからの影響も大きかったですね。高校1年生の時に、実家が農家の山田先生っていう担任の先生が「農業ってすごい良い仕事だから!」って話してくれて。

それで親にも「農業やりたい!」って話して。そしたら親が「じゃあおもしろい作物作ったらいいんじゃないの」って。

一部、先生と親の意見に乗っかった部分もあります(笑) それがターニングポイントですね。

ー先生と親の言うことを聞いたんですね。素直な子ですね(笑)

そうですね(笑)

ー大学では何を研究していたんですか?

大学では大豆の研究を始めました。当時はエイズに聞くかもしれないっていうサポニンという大豆があったんです。それすごいな、面白いなと思って。

でもここが2度目のターニングポイントなんですけど、ある日教授に言われたんです。国立大学の農学部は、どうすれば一つのサヤからたくさんの実が獲れるかとか、簡単に作物が食べられるようになるかとか、いかにして世界の食料生産をまかなうかの研究をしていると。お前の研究は、いずれ薬学部の研究になると。

この話がなければ、ずっと研究していくつもりでした。

それでもう一度原点に立ち戻って「使っていない農地を使いたい」という想いに辿り着いて、研究者の道ではなく就職活動を選択しました。農業に関連した会社を受けていましたね。

ーなるほど。結果的に当初の想いに戻ってきたんですね。

そうですね。でも面接で「農業をしたいので勉強のために入社したいです」という話をしていたんです。

そしたらどこも採ってくれませんでした(笑)

ー確かに今だと違うかもしれませんが、10年前だとそうかもしれませんね。それでIT系マーケティング会社のネクスウェイに就職するわけですが、そもそも農業とは関係ないネクスウェイになぜ興味を持ったんですか?

きっかけが面白くて、違う会社を目的に来ていたイベント会場で、ネクスウェイの人事の方に「君どこ受けにきているの?」って話しかけられたんです。そこで一体どんな会社なのかなと思って受けました。

一貫して、農業をやりたいということは言っていて、それでも内定を出してくれたのがネクスウェイでした。人事の方もずっと相談に乗ってくれていて、まずはここで社会勉強しようと。

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食品偽装問題をきっかけに起業へ

ーネクスウェイに入社するも、1年後に辞めて起業されるわけですが、ここのきっかけはなんだったんですか?

2007年に食品偽装が一気に問題となって、世の中で初めて「食の安心・安全」という言葉が出てきたんです。

「安心・安全」って、疑ってるじゃないですか。でも本来食べ物を作るのって楽しいはずなんですよ。不審がっている人たちも、実際に畑に来て見てもらったり、農業を体験してもらえば変わるんじゃないかと思ったんです。

そこで、じゃあ使っていない農地を使って自分がやってみようと。今しかないなと思って起業を決意しました。

ーなるほど。

それで会社作ろうと思って、当初は大学発ベンチャーとして、大学内でラボも借りてやる予定だったんです。農業系ベンチャー枠みたいなのがあったんですけど、他の会社が選考通って僕は落ちてしまって・・・。悔しかったですね。

でもやるしかないなと思って、京都の古民家の、めちゃくちゃ天井が低い屋根裏部屋みたいなところを借りて始めました。

ちなみにリクルート(ネクスウェイの親会社)の新規事業コンテストにも出してたんですけど、最初の書類審査で落ちてます(笑) これも悔しかった。

高校時代に芽生えた想いを大学で再認識し、社会問題をきっかけに、小さな屋根裏部屋からついにスタートを切ったマイファーム。

起業家になりたい、何億円規模のビジネスをつくりたい、ではなく、西辻氏が何年間も考え続けた農業の課題解決を目的とした、ビジョナリーな創業ストーリーである。

しかし当時は社会人経験も農業の経験もほとんどなかった西辻氏。本当の苦難はこれからだった。

-Part2に続く-

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