起業スイッチ

【Part1】「やるしかないなと思って、古民家の屋根裏部屋を借りて始めました」マイファーム代表、西辻氏の想いを形にする経営

学生時代から抱き続けた「使っていない農地を使って農業をやる」という想いを実現すべく、1年で会社を辞めてマイファームを創業した西辻氏。

しかし社会人経験も、農業の経験もほとんどなかった西辻氏は、何度も壁に直面する。

会社設立は教えてもらいながら全部自分で

ー会社設立時のお話をもう少し聞かせて頂けますか?

最初は登記の仕方も何も分からないんで、とりあえず法務局に行きました。何も考えずに、何も調べずに(笑)

で、法務局に法人設立窓口みたいなのがあって、そこで教えてもらいました。

ー教えてもらいながら、全部自分でやったんですか?

そうです。次は公証役場行かなきゃとか、その次は税務署行って、都道府県勢事務所行ってとか、定款って難しいなとか思いながら。

法務局に通って教えてもらって、全部自分でやりました。

ー偉いですね。すでに農業っていう明確にやりたいことがあったわけじゃないですか。その中で、会社設立系の面倒な手続きとかって、やりたくないけどやらざるをえないなって感じですか?

僕はやりたいことを実現するためのなりゆき起業で、元々起業家マインドみたいなの持ってたわけじゃないので。その辺も特に気にならず、粛々とやりました。

売上1億円くらいまでは、全部自分でやってましたね。給与振り込みも、記帳も、保険の加入もハローワーク行って。できるところまでやってみようと思っていました。

ー健康診断が必要とか、労働保険が必要とかっていうのはどこで知るんですか?だって、飛び込みで法務局行っちゃうような人じゃないですか(笑)

それは、転職サイトで他の会社の募集要項を見て、福利厚生を真似しました。

ー就業規則とかも?

自分で作りました。

ーそこも自分でやっちゃうんですね、本当に偉い。人はどうやって増えていったんですか?

近くにSOHOオフィスみたいなのがあったんで、ちょこちょこ出入りしてたら、そこでとある会社の社長に出会ったんです。

そしたらその人が「君のやろうとしていること面白そうだからジョインするよ」って言って、来てくれたんですよ。

ーすごいですね(笑) 2人で始まったんですね。

支店長と一緒に事業計画を策定

そんな感じでようやくスタートしまして、まずは耕作放棄地を探し始めたんですけど、結局6ヶ月間全然見つからなくて・・・。

ーそれはどうやって探すんですか?

歩き回って、一軒一軒飛び込みですね。畑やってる方を見かけたら「すみません、農地貸してください!」って(笑)

ー完全に不審者ですね(笑)

全国各地回って飛び込みましたけどダメでした。めちゃくちゃ悔しい体験もたくさんありましたね。

それでようやく、京都でお会いした方が「お前、噂聞くけど面白いな。やってみろよ」って言って貸してくれたんです。その人が今の副社長なんですけど。

ーそうだったんですね。

でも貸してくれたはいいんですけど・・・最初畑たがやすのに、クワで自分なりにめちゃくちゃ頑張ったんですけど、全然お客さんに見せられるレベルにならなくて。

こんなレベルでお客さんからお金もらえないな、これはお金を借りないといけないなって思って、金融機関に飛び込みました。

ーどこでも飛び込むんですね(笑)

メガバンクから地銀から全部回って、全部だめで。唯一、ある銀行だけ支店長が出てきて「お前面白いな」って言ってくれて、支店長室に呼ばれたんです。

そこで「空いてる農地を使って〜」って話をしたら「それはお金いるでしょ、事業計画は?」って聞かれて「ないです!」って(笑)

そしたら「そこがダメだな」って言われて、支店長が5年分の事業計画を、2ヶ月間一緒に作ってくれたんです。

ーすごいですね・・・。その人は単純に「面白いな」ってだけで?

そうですね。その支店長とは今でも飲むんですけど「当時はそんな面白いこと言う若者なんていなかった」って。応援したい気持ちがあったんだって言ってくれます。

ーめちゃくちゃ良い人ですね。でも西辻さんは断られても断られても飛び込みますもんね。チャンスを待つんじゃなくて、自分で作りにいってる。

そうかもしれませんね。

それで支店長決裁で進めてくれたんです。ハンコを押す時は、これで後には引けないなって手が震えましたね・・・。

part202

ビジョンを浸透させるマネジメント

ーその後はどんな業務を?

僕はチラシを持って「これ貸し農園です」って言って外回りして、もう一人は中で受発注やチラシ作りなんかをやってもらいました。全然集まらなくて、1年目の売上は160万円で、お客さんは26人でした。

めちゃくちゃ厳しかったんですけど、でもその26人がいてくれたおかげで、飛び込みで断られた人たちから「お前これがやりたかったのか、次うちでもやってみろ」って逆にオファーをもらったんです。

みんな耕作放棄地には困っていたんですね。ちゃんとやってるっていう姿を見せることで、やっと信用してもらえたんです。今でもうちはインバウンドだけで、営業してないです。

ーなるほど。おもしろいですね。

それが始まりです。

その後は、支店長と事業計画を作った時に2010年には学校やりますって決めてたんですけど、計画通り2010年に学校作って。

ー学校も、普通にやりますって言って作れるもんじゃないですよね?

大変でしたね・・・。

でも僕は起業家マインドみたいなのがあるわけじゃないので、情報を自分でかき集めながら、生々しい現場を自分で歩きながら、学校ってどうやって作るのか一個ずつ探していって。そういうスタンスで今までやってきました。

全部素人から入っていって。地べた這いつくばり型のベンチャー企業です(笑)

ーなるほど。起業家マインドとおっしゃりますが、例えばやっていく中で、事業をこれくらい大きくしたいとか、売上を大きくしたいとかっていう思いはないんですか?それとも農業を良くしていきたいっていう、ずっとそっちなんですかね?

ずっとビジョンありきですね。その結果として、会社が大きくなって、社員も増えてっていう。

ーそうすると、事業計画も作ったもののあまり見ないんじゃないですか?

事業計画は張り出してます。でも、方向はそっちねっていうくらいですね。

それよりもビジョンを大切にしています。マイファームではやりたいことを毎年社員全員で決める会があって、決めたことをカードにして、毎日みんなで声に出して読んでます。

ーそういうのって誰かから学ぶんですか?

いえ、自分で考えてですね。前職もマネジメントを経験する前に辞めたのでマネジメントノウハウはなくて。全部自分で考えて。

ーそれを自分で気づいてやってるのは、めちゃくちゃすごいですよ。

あとは、自分の想いをコラムにして社員に伝えてたりします。書き物にした方が、トップの思っていることは伝わりやすいかなと思って。うちが事業拡大する理由とか、世界から見た日本の農業ってまだまだですよとか、そもそも作物を作ることが自然破壊なんですよとか。

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会社設立のため法務局に飛び込み、耕作放棄地を貸してもらうため農家に飛び込み、お金を借りるため銀行に飛び込み。

自ら「地べた這いつくばり型」と形容するが、まさに何か新しいことを始める際は、トップ自らがその足で行動して経験し、内情を知るところから始めるのがマイファームの、西辻氏のスタイルだ。

そうして事業をつくり、会社を成長させていった西辻氏だが、2011年、震災によってマイファームに最大の苦難が訪れる・・・。

-Part3に続く-

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