起業スイッチ

導入

スマートフォンやタブレットから接客業務のロールプレイング動画を撮影、クラウドにアップすることで、接客ノウハウの共有や、改善点の相互フィードバックなどを実現する、ナレッジシェアアプリ「TANREN」。

2014年10月に当社を設立し、翌年の4月にサービスをリリースした代表の佐藤氏は元々、子役や調理師、携帯電話販売業界の人材育成と、特異な経験を積んできた起業家である。

スタートアップのピッチイベントでも、数々の賞を受賞。今勢いに乗るTANRENと、佐藤氏の興味深いキャリアについてお話を伺った。

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名優に囲まれ、表現力を磨いた子役時代

—社長のキャラがかなり立っているので、いつ頃からそのキャラだったのかお伺いしたいのですが。

僕の中でこういった人格が形成されたのは小学6年生の時で、実は僕、小学6年生から中学2年生まで劇団俳優だったんです。子役をやっていました。

ビートたけしさんの子供時代の役とかやっていて、その時のお母さん役が樹木希林さんでした。悪ガキの役だったので、樹木希林さんに羽交い締めにされながら「やめろよ!やめろよ!」って・・・これがまた大根役者で、芽が出ないっていう。笑

「やめろよ!やめろよ!」と言いながら当時の演技を再現する佐藤氏
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ーすごいじゃないですか。笑

社会に出るのが早かったですし、劇団仲間の年上の人とばかり話をしていたので、表現力は多分に形成されたと思います。「よく喋りますね」と言われますが、喋らないといけない仕事だったので。

例えば早口言葉をやったり、”目の前にある何かで3分間喋り続けなさい”という講座があったり、そんなのを3年間ずっとやっていました。僕のプレゼンの先生は、もしかしたら竹中直人さんや樹木希林さんだったかもしれませんね。

ールーツがめちゃくちゃカッコいいですね。直接お仕事もされたんですか?

何回かしました。特に竹中さんは、一番惚れ込んだ表現者さんです。向こうは覚えていないと思いますけど。笑

ーでも3年で辞めてしまったんですね。

はい。3年やって、俳優で飯が食えないって分かりました。

ーえ、まだ中学2年生ですよね?笑

同世代の劇団仲間は、何十万円とか稼ぎ始めて、学校の進路も真剣に考え始めるんです。僕も劇団の月謝が払えるくらいの稼ぎはあったんですけど、これで飯が食っていけるかという次元の話にはなりませんでした。

中学校の出席率も仕事で3分の1くらいに落ちてしまって、学校に友だちもいないので、次第に焦り始めて・・・。このままだと高校生になれないぞっていう状況でした。

それで「これはまずい!」と理性が働いて、劇団をきっぱり辞めたのが中学2年生。そこからちゃんと出席して勉強をして、高校に行きました。

トラウマを振り返って見つけた、進むべき道

ー稽古を繰り返す、上手い人に教わるという子役時代のご経験は、今のTANRENにまさしく直結していますね。

そうですね。でも高校を卒業後、専門学校へて調理師になったんですけど、しょっちゅう自分の阿呆っぷりが嫌になって・・・その度にあの時劇団をやっていたからだと考えて、いつしかトラウマになってしまいました。実はずっと振り返れなかったんです。

子役をやっていた当時も、学校に友だちはいないし・・・孤独でした。

頭は悪いわ、体力はないわ、女子にはモテないわ、オーディションに行けば「大根かじるのが似合うよね」とか言われて昭和な戦争ものばかり通るわ。笑

トレンディドラマには出られないタイプでしたね。月9には一回も呼ばれない。笑

社会に出てからも逃げ根性ばかりついていて、嫌だったら辞める、嫌だったら辞める・・・それで25歳になった時にようやく「これじゃいかん!」と思ったんです。遅すぎですね。

ー25歳で初めて人生を振り返ったと。

はい。当時やっていたことを振り返っていく中で、改めて表現力って大事だなと思ったんです。舞台俳優なんか最高で、例えば壇上に出てセリフ忘れた時に取り繕わないといけない、壇上に立ったら演じきるんだという精神、表現力と即興力は仕事社会でも同じだなと。

あとは興味本位で入ってきた小学生たちに対して、どう教えていたのかなと考えると、やはり劇団なので身体を使ったアクションが多かったなぁとか、泣こうがわめこうが、家なき子の安達祐実さながら無理矢理人前に立たせられたなぁとか。講義のようなインプット形式でなく、身体を動かすロールプレイング形式の方が、僕の肌に合っていたなぁとか。

ーそれをビジネスとして今、落とし込もうとされているのが面白いですね。人生を振り返って過去の学びを思い出して、自分自身が変わるだけじゃなく、仕事にしていこうと。

自分の中で大事にしているスキル、舞台俳優が持つべき表現力や即興力を、過去の自分の人生を否定したくないがために掘り起こして、表現する人間でありたいという想いはありますね。

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個人の才能を吊り上げる、仕組みづくりがしたい

あとは僕自身が偏差値低い学校の底辺でもがき苦しんでいたので、教育の仕組みづくりが出来れば良いなというのは前々からありました。坂本龍馬が好きだったので、寺子屋ビジネスをやりたいというのは高校生の時から思っていました。

ー良いですね、そうだったんですか。

僕は劣等生だった時代もありましたけど、たまに母に怒られて寝ずに勉強をしたら、次の日のテストが98点だったとか、そういう経験があったので、やればできるんだろうなというのは薄々あったんです・・・出来ていない人間の発言としては、適切じゃないかもしれませんが。笑

でもやればいつでも出来るからと思って、遊びに行ってしまった。要は勉強にハマらなかったんです。なので、手に職をつけて早く働きたいという感情が芽生えて、高校卒業後は調理師業界に行きました。

ーなるほど、そりゃそうですね。

高校生の時にはずっと、学校じゃないところで学びたい、社会に出て活用できるスキルが寺子屋のような形で、塾に行くかのごとく学ぶ術はないのかと思っていました。

TANRENに見る夢も同じなんです。もう少し基盤が作れたら、個人の能力を伸ばしたいという人たちを結び付けて、鍛錬塾という屋号を作ってやりたいんです、実はもうロゴもあります。苦笑

ー学校以外の場を作りたいということですね。

そうです。もっと言うと、理詰め論法では通用しない世界で生きている人たちが持っているような、人間力を高める場。でも誰が人間力を科学して、誰が仕組みづくりをするのかと思うと、たぶんやりたくてもやれない。だからプレイヤーもいないし、市場としても大きく見られない。

EdTechって世の中ではすごく狭い方に入っていて、トレンドとしては2013年でほぼ終わっていると言われているんです。FinTechとかAdTechの方が、長けていて市場も大きい。でもそれは、臭いものに蓋をしているだけだと思うんです。

教育をもう一度考えないと、iPad Proを買ったら頭が良くなるわけではないし、新しいクラウドサービスを使ったら営業成績が上がるわけでもなくて、本質のところから逃れちゃいけない。となった時に、今のe-ラーニングツールでは自分自身納得がいっていませんでした。

ー教育はツールとかデバイスの話ではない、ということでしょうか。

そうですね。個人の本来持っているものを、高めるものじゃないといけない。

例えばQ&Aって、場をクリアするという観点じゃないですか。そうではなくて「お前すごいもん持ってんじゃん!」という風に、見えない才能を吊り上げていく感じ。もっとボトムアップ式であって欲しいなと思うんです。

ーすごく良いなと思うんですけど、一方で評価の問題がつきまといますよね。そこがまだまだ点数で評価せざるを得ない。

そうですね。TANRENでは星印の4段階で評価をするんですけど、真ん中がないんです。良いか、悪いか、めちゃくちゃ良いか、めちゃくちゃ悪いか。真ん中を作ってしまうと、良いのか悪いのか分からなくなってしまうので。

でもこれは同時に、人を殺す話にもなってしまいます。「私、悪いんです」って。

ー片方に振り切れてしまいますからね。

これは教育論としては僕は正しいと思うんですけど、一方で組織が弱いと辞めてしまう子もいる。ではどうするべきかというと、僕は出来ない子に対しては、他人や仕組みによって、レールを敷いてあげるのが大事だと思っています。

出来ない子たちは孤独なので、隣に寄り添ってくれる言葉が欲しいというのと、凄い人たちは超えられないけれど、目の前の自分より0.1ポイント上の人なら超えられるかもしれないので、少しの成長、ワンマイルの競争なら頑張れる。

だからTANRENのダッシュボード上で何百人と繋がりつつ、私は良いのか悪いのかもはっきりもさせてあげて、僕はボトムアップを計りたいんです。

携帯キャリアの販売店のスタッフも、自分の店鋪の中でしか仕事をしたことがない、会社には何百人とスタッフがいるのに、巡り会ったこともないので、ものすごく世界が狭い。

「みんなこうやっているんだ」とか「ここが改善点なんだ」とか「言葉で頂いたら分かりやすい」という風に、少しでも上を向いてくれるだけで、企業の数字も安定して上に伸びるはずなんですよ。

子役時代に学んだ表現力や即興力の重要性を再認識し、学業・学校にハマらなかった経験を課題と捉えるなど、佐藤氏の人生を丸ごと詰め込んで、TANRENは生み出された。

しかし当然のことながら起業とはそう簡単なものではなく、TANRENを作り上げる中で佐藤氏は、様々な課題に直面することになる・・・。

-Part2に続く-

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